| 四話
[実用新案出願中と言ったら敬遠される]
私は以前は無料で、現在は有料(1件につき3,000円)でアイデア相談を行なっていますが、あるアイデア相談のお手紙の中に「自由になる金が4~5万できたので実用新案を」とか「特許を出願してすぐ実新とのお話なので、10万円はなければと思い」と書かれていたので驚きました。
拙著②の--特許と実用新案どっちが有利?--の項で、重要な発明の場合特許出願をして、その1日以上後に実用新案の出願をすることのメリットについて、ある弁理士の方の説を紹介したのは、個人の場合ではなく、主として資金にゆとりのある企業の場合について書いたつもりです。その点説明が足りず、申し訳なく思っています。
また、同じ項で、実用新案はお勧めできないという趣旨のことを書きました。そのことについて、ここで多少補足説明を致します。
実用新案の年間の出願件数は以前は20万件を超えていたのに、平成6年1月1日から実体審査なしで権利期間も6年と大幅に短縮されたため年々減少し、現在は約9千件です。このように20分の1以下に激減したのは、新しい実用新案の価値はほとんどないと考えて特許出願に切り換える人が激増したからです。以前、「チューブクリップ」の発明者の黒田哲正(あきただ)様(拙著①参照)が、実用新案は従来どおりか、廃止して特許に一本化するのがよいという趣旨のことを言われましたが、同感です。現在、特許庁では実用新案制度の改正を検討しており(平成15年10月17日付日本経済新聞参照)、特許庁に聞きましたら、平成17年4月1日改正を目指しているとのことです。この制度を廃止しないのであれば、シンプルに以前の制度に戻すのがよいと思います。
実用新案の価値がほとんどなくなったとはいえ、現実にその制度があるため、今までは特許庁や(社)発明協会の相談員のような公的な立場の方が実用新案について否定的な発言をすることはなかったと思います。しかし、何か月か前に電話で特許庁の相談員の方と話をしているとき、私が現在の実用新案の制度はほとんど意味がないと言いましたら、あっさりとそうだと言いました。今では、それが常識になっているわけです。
従って、メーカーにアイデア提案をするときに実用新案出願中(あるいは実用新案登録済み)だと言えば、それだけで非常識な人だと見なされ、こういう人とはつながりを持ちたくないと敬遠されるおそれがあります。「非常識な人」について会社の担当者の頭をよぎるのは、例えば、契約を済ませて開発を進めているときに、その開発の内容をライバル会社に漏らされて先手を打たれてしまうという事態、どうしてそのような人を近付けたのかと社内で非難される事態です。そこまで心配されないとしても、非常識な人だと思われたら、何かと会社に迷惑がかかるかもしれないと敬遠される可能性が大きいのです。
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